中井広恵女流六段インタビューなど

ファンクラブ会員番号をオークションに

いつから掲載されていたか確認していないのですが。

2月25日開催の「女流棋士との親睦将棋会2007」から会員申し込み受付を開始する女流棋士ファンクラブ「MINERVA」ですが、きりのよい会員番号(1・2・3・7・77・100・777・1000の8種類)を会場でオークションにかけるそうです。私は特にほしいわけではないのですが、どのくらいの値段が付くのか面白そうですね。81番もほしい人がいそうだとちらっと思いました。

中井広恵女流六段インタビュー

2月5日発売の週刊エコノミスト2月13日号に「男性棋士と互角に戦える環境を作りたい」と題する中井広恵女流六段のインタビューが掲載されています。4ページからなる長めの記事です。

前半では子供の頃から男性棋士相手に結果を出せるようになるまでのエピソードが書かれています。後半の最初では、将棋で女性が男性に勝てないのはなぜかという話で、環境が違いすぎるので現時点では無理、もっと年数が経たないと結論は出せないという話になっています。その通りだと思います。そして、次に瀬川晶司四段のプロ編入試験が盛り上がった件を引き合いに出して、女流棋士も「男性と互角に戦える実力も備えなければいけないと思います。」としています。

独立に関しては次のように話しています。

―― 女流棋士の独立団体を立ち上げる理由は。

中井 まず女流棋士の立場があやふやだということです。将棋連盟に所属していますが、男性棋士のような正会員ではありません。社会保険が適用されないとか、連盟での選挙権がないとかいう細かい点もありますが、それよりも私たちが連盟のなかでどういう存在なのかはっきりした位置づけがないのが問題でした。

女流棋士会は法人格のない任意団体ですから、たとえば女流棋戦に新しいスポンサーが見つかっても契約を結ぶことができない。独立して初めて、そういう交渉の席につくことができます。世間に認められる組織にするという意味合いも強いです。

何度も言われてきたように、これが独立の理由であるわけです。女流棋士は将棋界の中でどのような位置づけなのか。プロの一員であるにしては自分たちに関する事項についての権限がなく、職員のように雇用されているにしては報酬や保障が少なく。ただ女流棋士という名目がある状態になっているのが現状です。

―― 女流棋士の待遇については。

中井 子供に「女流棋士になるといいよ」と勧められるような待遇にしなければ。収入の問題もありますが、やはり勝負の世界ですから、頑張った人が報われるようにしたい。ただ、それは対局であったり、イベントやレッスンであったり、それぞれに頑張る場所があると思います。

「勝負の世界ですから」と「頑張った人が報われる」はつながらないような気がしますが、インタビューだとそんなものでしょうか。「それぞれに頑張る場所がある」というのは重要な指摘と思います。

また、次のようなことも考えているそうです。

ファンの意見や要望を取り入れていろいろなことをやっていきたい。男性ではできなくても、小所帯の女流なら冒険できることもあると思います。棋戦の予選会を一斉対局にしてファンの方に見てもらうとか、1日で優勝者が決まるような棋戦をイベント化するといったアイデアも出ています。2月にはファンクラブも立ち上げます。

ファンとの交流はこれからますます大切になってくることでしょう。これまで将棋ファンはあまりお金を使わない傾向が言われていますが、それはお金を使う機会が少ないことが直接的な原因と考えています。将棋のために足を運んで楽しめる機会を増やすことは、スポンサーにとっても歓迎でしょうし、そういった試みが成功すれば男性棋士にも好影響があるでしょう。その意味で、女流棋士の活動は将棋界全体にとっての試金石でもあると考えられます。いいタイミングでの充実したインタビュー記事でした。

米長邦雄永世棋聖のホームページ更新

米長邦雄永世棋聖さわやか日記1月18日(木)19時31分2秒付で「理事会名にて女流棋士全員に書面送付しました」という記述があり、これに関して広恵の日記書き込み番号11828で中井広恵女流六段の「・・・。私は黙っちゃうんですよね(笑)。どのような内容だったのかは・・・。」というコメントがあったため、どういうことがあったのか気になっていたのですが、2月10日更新の米長邦雄の家でこの件に関する若干の記述がありました。

うーむ。難しい。悩ましい。
法律で全てが片付けられるのか。人間同士の話し合い、人の和の方が大事なのか。素人の常識では社団法人日本将棋連盟の会長は将棋界では一番偉いというか、代表者と信じていました。ところが対等の人が現れたのです。女流棋士新法人の設立準備委員会委員長・中井広恵様がその人。
理事会は、女流棋士の独立には前向きです。そのためには女流棋士やその師匠、理事会も含めて話し合い、議論をし、全員一丸となって事を進めたいと考えております。
そこで1月17日に女流棋士全員に「お知らせ」を出しました。理事会名です。この時点では、理事会の傘下に女流棋士がいると思っていたのです。勿論今でもそうですけど。

叱りつけられました。米長邦雄中原誠西村一義の三名が顧問弁護士・木村晋介先生を伴って、中井広恵委員長に頭を下げ、改めて文章を直して提出しました。ゴメンなさい。
私は法律は良く分かりません。米長会長と中井委員長は対等の立場にあるらしいのです。私の頭では、女流棋士会で一番偉いのは藤森奈津子会長で、私は仲間として何でも話し合える仲だと信じていました。どうもそうではないらしい。
焦点は12月1日に女流棋士会は既に独立したのかどうかということです。
どうしても分かりません。

2月1日になって、その委員会が一億円の寄付金を集めるというのです。理事会へは何も事前に相談することなく通知のみありました。その委員会は日本将棋連盟とも女流棋士会とも関係ないものと、これは弁護士同士で話し合いが済んでいる。2月9日の東京将棋記者会での質問に対する正式回答です。

私の感覚だと、日本将棋連盟の会長は日本将棋連盟で一番えらいだけだと思うのですが。というか、そこで将棋界で一番えらいのは将棋ファンですというようなことを書けないものかと思いました。

それはそれとしても、この言い方だと、法律を気にしなければ女流棋士新法人設立準備委員会が日本将棋連盟の下にある方が良いというように読めてしまうのですが、その根拠が私には理解できません。上のインタビューで中井広恵女流六段が言及したような位置づけのあいまいさを解消しないままに、ただ女流棋士が下にあるという意識が出た文書だったのかなと想像してしまいました。

それにしても不穏な空気がありますね。上にいるという意識があるならあるで、下への配慮を十分に尽くせばこんなに険悪にはならないのでしょうけども、先行きが不安になります。米長永世棋聖の文章の読み方が違っていてそう感じているだけならいいのですが。