同志社大学入試問題で「高速道路」論

昨年ベストセラーとなった『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』(梅田望夫著、ちくま新書)で羽生善治三冠の「高速道路」論が紹介されていることはすでに何度かお伝えしましたが、この本のその部分が同志社大学の国語の入試問題で出題されました。使われている部分を見て関心を持ったら買って読んでみて下さい。インターネットの現在・将来を知るために必読の一冊です。

将棋の現状を知る方にとっては、次のような問題は本文を読まなくても容易に正解できるでしょう。

「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれた」ことにより、将棋の世界にどのような変化が生じたのか。その説明として適当なものを、次のうちから一つ選び、その番号を記せ。

  1. 例えば定跡研究や棋譜データベースなどの情報が整備され、誰もがそれをわずかなコストで共有することが可能になったので、以前より速いスピードで一定の強さまで上達できるようになったこと。
  2. 例えば終盤の打ち方のパターンや計算方法の考え方が広く知られることによって誰もが将棋に勝つコツを簡単に身につけられるので、以前より素早く勝負をつけることができるようになったこと。
  3. 例えば市販のコンピュータ将棋ソフトの能力が人間を超えつつあるほどまで高められたために、将棋の練習を一つ一つ積み重ねていく必要がなくなり、一足飛びに級や段位が進むようになったこと。
  4. 例えばインターネット上に開かれている将棋道場で強敵と対戦できるようになったために、一回ごとの勝負において「詰み」に至る時間の無駄が省かれ、将棋を指すスピードが急速に上がったこと。
  5. 例えばプロ棋士など強豪の胸を借りて実戦練習ができるようになったために、練習相手を捜す手間が省け、下手な相手との勝負に時間を費やすこともなくなり、練習に専念できるようになったこと。

それにしても、国語の入試問題にまで将棋を「打つ」という表現が出るようになりましたか。原文ではきちんと「指す」と書かれているのに、出題者は誤りに気付かなかったようです。