奨励会三段リーグ 豊島将之三段・金井恒太三段がプロ入り 伊藤真吾三段もフリークラス入り

3月17日に行われた奨励会三段リーグ最終節で、豊島将之三段・金井恒太三段が四段への昇段を決めました。また、伊藤真吾三段が2度目の次点でフリークラスとして四段昇段となります。上位陣の成績は以下の通りでした。(上位2名が四段昇段。かっこ内は前期順位。)

  1. 14勝4敗(01) 豊島将之三段(昇段)
  2. 14勝4敗(16) 金井恒太三段(昇段)
  3. 13勝5敗(02) 伊藤真吾三段(2度目の次点)
  4. 13勝5敗(05) 及川拓馬三段
  5. 13勝5敗(32) 大石直嗣三段

前期次点の雪辱を果たした豊島将之三段は、1990年生まれの16歳。平成生まれとしては初めてのプロ棋士となりました。金井恒太三段は出だし3勝4敗から11連勝と勢いに乗ってのプロ入り。伊藤真吾三段はラス前の第18回戦で大石直嗣三段との直接対決に敗れましたが、最終の第19回戦で大石負け・伊藤勝ちとなったため次点に届きました。上のリンク先の写真にマイクが見えるので、今度の囲碁将棋ジャーナルでインタビューが聞けそうです。

三段リーグでは2位に入れば四段に昇段してプロ入りとなりますが、次点(3位)を通算2度獲得しても四段になる権利を得られます。ただし、次点2度では順位戦に参加する資格が得られず、フリークラスとしてのプロ入りとなります。フリークラスから順位戦参加資格を獲得するには「良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上」などの好成績を順位戦以外の棋戦で挙げる必要があり、この基準を満たすのはそう簡単ではありません。

次点を2度獲得した三段は伊藤真吾三段以前に2名いました。1人目は1998年に22歳でプロ入りした伊奈祐介五段。伊奈五段はフリークラスを抜けるのに苦労しましたが、2002年度の順位戦からC級2組に参加しています。2人目は2004年に2度目の次点となった佐藤天彦四段。当時16歳だった佐藤四段はプロ入りの権利を放棄して三段リーグを勝ち抜いての順位戦入りを目指す決断をし、2年後の2006年に四段となりました。2人の決断は異なるものでしたが、それぞれが真剣に考えた上でのドラマだったと思います。伊藤真吾三段のこれからの戦いに注目したいと思います。

最終日まで昇段の可能性を残していた水津隆義三段は結局11勝どまり。奨励会三段は26歳になって三段リーグで勝ち越せないと自動的に退会となるのですが、勝ち越し続けても29歳で退会となるという初めての例となりました。水津三段は2002年後期から9期連続で勝ち越し続けました。順位戦でこの成績ならずっと生活していけるわけで、奨励会というのは厳しいところだというのがわかります。水津三段が今後どのような道を進むにしても、この記録はずっと歴史に残るだろうと思います。