女流棋士独立派が新団体設立方針表明 など

まず、3月30日の女流棋士独立問題 36名が残留届の続きから。

日本将棋連盟理事会から久しぶりに公式文書が出ました。自分で「問題」とか言わないでしょうというのはおくとして、「理事会が全女流棋士に『日本将棋連盟に残留するか新法人へ移籍するか』の確認をしておりました件で」と書くなら、始める時点で文書を出しておかなければだめだと思うのですが、まあもう期待はしていません。

米長邦雄の家」更新(3月31日)

3月31日に米長邦雄の家が更新されました。

3月30日午後3時半。記者会見がありました。「日本将棋連盟に残留を希望する者36名」

届出は37だったんですが、その中のひとりは「理事に圧力をかけられたので云々」と公言したとの報告あり。直ちに確認しました。本人の意志で「残ることを希望する」者のみを受け入れるというのが鉄則です。結局36名と決定しました。

米長邦雄永世棋聖によると、このように「圧力」があったと主張する女流棋士がいたとのことです。3月31日(土)17時58分10秒付のさわやか日記では「午後3時半から記者会見がありました。女流棋士の『残留を希望します』と返事を出した人の数字を公表。それ以外は全て語らない。」とあり、「圧力」があったかどうかについては否定も肯定もしない姿勢のようです。

3月30日の女流棋士独立問題 36名が残留届で取り上げた産経新聞の記事にある残留派に対して集中的に仕事を回したというのは事実としてはあるのかもしれませんが、それを何と呼ぶかは立場によって違うというような感じなのでしょうか。まあ、仕事に関しては残留する女流棋士が増えると一人あたりの増分は少なくなるでしょうけども。

下記ページでは「切り崩し工作」があったという記述もあり、もういろいろと大変そうです。

古河彩子女流二段の更新(4月1日)

3月30日にお伝えした女流棋士独立問題 36名が残留届という状況を受けて、古河彩子女流二段がこの問題に関する3度目の更新を行いました。

将棋連盟から女流棋士への残留か移籍かの確認書の人数が報道されました。残留36名、思ったより多くて驚きました。年末から、ずっと自分は少数派だと思っていて何ヶ月も辛い気持ちだったので、ちょっと混乱しています。仲間が増えてうれしいのかな?一体何が起こっていたの?・・・e.t.c気持ちを整理する時間がほしいです。

渦中にいても混乱するくらいですから、外からご覧になっている皆様には分からないことだらけだと思います。

たしかに、わからないことだらけです。これから少しずつでもわかることが増えてくるといいのですが。

気に掛かっていること、それは1回目の臨時総会です。2006年4月14日に臨時総会は確かに行われました。米長会長・西村理事の出席もありました。その存在は確かにあるのにあまり話題になりません。

残念なことに、翌日4月15日は「女流棋士との親睦将棋会」で私は当時は実行委員だったので、親睦将棋会の準備をしながら会議を聞いていてメモを取っていませんでした。おおまかに記憶はしていますが、正確に両理事の公の発言を書く事ができないのです。

女流棋士独立問題については、2名の設立準備委員ブログの公開文書にもある1回目の臨時総会(2006.4.14)の内容が非常に重要と考えています。

この2006年4月14日の女流棋士会臨時総会は、共同通信の2006年12月2日付記事将棋連盟から女流棋士が独立/自立促した財政改革の中で「四月十四日、女流棋士に緊急招集がかかった。臨時総会の開催だった。米長会長のひと言で、穏やかに進んだ総会に緊張感が走った。『将来のため女流棋士会の自立が必要な時がきた』。公の場で初めて独立を促され、女流棋士たちは『大変なことになった』と表情を変えた。」と記述され、注目されました。女流棋士新法人設立準備委員会は2月20日付の声明で次のように書いています。(下記引用中の「それ」は、2006年3月8日の米長邦雄永世棋聖による「独立に対する具体的なご指導」を指します。)

それを受けて、女流棋士会は2006年4月14日に臨時総会を開催致しました。同臨時総会には,米長会長及び西村専務理事にご出席頂き,日本将棋連盟理事会の下での女流棋士に対する処遇の見通し等のご説明を頂きながら,再度,具体的に独立のご助言を頂きました。話し合いの結果,日本将棋連盟から独立する方向に賛成の女流棋士が多数であったため,6月の定例総会において,女流棋士の独立を視野に入れた今後のあり方を様々な角度から検討するため,制度委員会を設置致しました。

このように語られている臨時総会で具体的にどのような議論があったのかは興味深いところです。1年近くたっていても、議事録を見れば思い出せるのではないでしょうか。

女流棋士新法人設立準備委員会が新法人設立方針を表明(4月2日)

3月30日の時点では今後の方針を「前向きに検討」という控えめな表現だったのですが、4月2日に改めて独立の方針が確認されました。各紙の記事によると新団体に参加するのは17名前後と予測されていますが、最新のNHKニュースでは15名程度となっています。

このような状況においても、私たちの初心は決して揺らぐことはなく、この度、志を同じくする仲間と共に初心を貫き通す意志を固めました。

私たちは、やはり新法人を設立し、自分たちで責任を持って、将棋文化の普及と発展に努めて参ります。それゆえ、今後も関係各位と協議の上、新法人設立に向けて粛々と準備を進めて参ります。

心ならずも女流棋士同士がいったんは分かれる形となりますが、私たちは将棋連盟から発表された数を額面通りには受け取っておりません。残留と書いた人たちの中にも独立したいと考えている人は多くいると思います。様々な理由で将棋連盟に残留を希望された方々にも、安心して新法人へと加入して頂けるような組織作り、環境作りをしてゆきたいと考えております。

ただし、設立時期に関しての言及はありません。「追って公表させて頂きます」とあるので、そのときになるのでしょう。日本経済新聞の記事によると「中井委員長によると、4月半ばまでに日程などを詰め、2カ月以内の設立を目指す」とのことです。なお、NHKニュースによると、「日本将棋連盟西村一義専務理事は『正式に聞いていないのでノーコメントだ』と話しています」だそうです。

女流棋士全員での独立が達成できなかったことから、寄付金は希望者に返還することになるそうです。

ご寄付いただいたご趣旨、お気持ちと違う方には、ご返金の手続きをとらせていただきます。具体的手続については、ご寄付を頂戴した方に郵送にてお知らせ致しますので、お手数ですが、ご返還をお申し出くださいますようお願い申し上げます。

お申し出期間中、ご返還のお申し出がなかったご寄付については、女流棋士新法人の設立準備ならびに当初運営資金とさせて頂きたく存じます。

「お申し出期間」がどの程度の長さかは寄付した人へ郵送される書類の中に書いてあるのだろうと思います。現状がよくわからない部分もかなりあるので、「趣旨」が違うかどうかは判断できないという人も多いでしょう。産経新聞の記事によると「来週中には記者会見を開き、詳細を明らかにしたい」とありますので、そこで明らかにされる内容が大きな判断材料になることと思われます。

矢内理絵子女流名人が準備委員会委員を辞任

なお、矢内理絵子準備委員が都合により委員を辞任しましたことを、この場を借りてご報告させて頂きます。

辞任の日付は明らかになっていません。また、これに関する矢内理絵子女流名人のコメントも出ていません。独立派にとって、タイトル保持者の離脱が大きな痛手であることは言うまでもありません。

この問題に関して、矢内理絵子女流名人は中井広恵女流六段の次にマスコミに露出して言及していたと思います。その内容についてこのページではほとんどお伝えしてきませんでしたが、それは比較的無難にまとまった発言が多く、改まって紹介するほどの新味のある内容がないと判断した結果と思います。記事が現在手元にないのではっきりと比較できないのですが、準備委員会の他のメンバーに比べて、矢内理絵子女流名人は女流棋士の立場に関する問題意識は共有するものの、何が何でも独立かどうかという点では考えに差があったのだろうと現段階では推測しています。

残留派が「暫定事務局」を発足

一方、残留する女流棋士は2日、「暫定事務局」を発足させた。連盟との連携や取材対応などの窓口で、前女流棋士会会長の谷川治恵女流四段が事務局長。今年2月に発足したファンクラブの運営などで支障が出ないよう準備委員会側と協議したいという。

独立派は人数では少ないものの、これまでの女流棋士会でイベントの運営などに携わった女流棋士も多く含まれるため、残留派だけでこれらの仕事を切り盛りするのも簡単ではないということで、両者の協力を模索しなければならないのは必然的な流れだと思います。そもそも、「女流棋士会」という組織がどうなるのかすらもまだよくわからない状況なのですが、ファンクラブなどこれからに期待できそうな事業はきちんと継続してほしいと思います。