女流棋士独立問題 週刊新潮の記事 ほか

サンスポ「コラム甘口辛口」

4月4日付のサンケイスポーツの「コラム甘口辛口」でこの問題が取り上げられました。

しかし、進め方が強引すぎたのかもしれない。昨年末の女流棋士総会で独立の方針が打ち出され、賛成44(うち委任状12)、反対1、棄権8で可決されたが、「賛成の多くは準備委員会の設置を認知したもの。それを推進派は独立そのものが支持されたとして動き出し、足並みが乱れた」とある関係者はいう。

先月末の連盟の意思確認では賛否が逆転し独立派17人に対し、連盟残留派が36人もいた。連盟としては手塩にかけて育てた娘を花嫁修業に出す心境で、出た後も何くれとなく支援するつもりだったようだ。だが、独立派は親元から離れるのが先決で、資金、対局権利など独立後の姿がはっきりしないまま、とりあえず飛び出した感じがする。

このあたり、筆者はあまり関連記事を読まずに書いているのではないかという気がします。例えば、4月2日付のサンケイスポーツの記事では次のような記述があります。

女流棋士は1974年に誕生。男性棋士とは待遇面などで格差があり、自立の道を求め、昨年12月に開いた女流棋士会の臨時総会で独立方針を賛成多数で決めた。

ところが2月に入り、独立支援を約束していた連盟理事会が態度を変え、それに伴い残留希望の女流棋士が急増。独立を推進してきた女流トップの矢内理絵子女流名人が3月、設立準備委員を辞任し、足並みの乱れが顕著になっていた。

自紙の記事にある中でこれが違うという具体的な根拠があるなら示すべきですし、それがないのなら「感じがする」のような印象論で語るのはやめた方がいいのではないでしょうか。

週刊新潮の記事

4月6日発売の週刊新潮4月12日号に「『残留バブルと脅し』で揺れた 将棋『女流棋士会』」という見出しの記事が掲載されています。

4月2日の記者会見の内容を簡潔に伝えた上で、「ある男性プロ棋士」のコメントとして2006年3月に米長邦雄永世棋聖が独立を勧めたという例の話があり、さらに「あるベテラン女流棋士」のコメントとして女流棋士の年間対局料がトップクラスで4〜500万円、下は30万円という話が出ています。そして、古作登氏による「米長会長が一転して、女流の独立に難色を示し始めた」というコメントが出てきます。

日本将棋連盟理事会の作戦などについて記事では次のように書かれています。

「米長会長や理事たちは、兵糧攻めに出たのです。彼女たちの将棋の師匠や保護者に連絡して、独立を断念させるよう説得させました。それでも効果がないと知るや、今度は踏み絵を用意した」(将棋担当記者)

回答期限を3月22日までとし、残留するか否かを女流棋士に迫ったのだ。しかも、その間には“独立派は除名だ”などという怪電話が、女流の自宅にジャンジャン掛かっている。連盟の西村一義専務理事は、
「嫁に出す以上は、安心したいのが親心というものです。本当に全員揃って独立したいのか、本心を聞いてみたかっただけでした」

と言うが、これはどう見ても脅迫。連盟怖さで翻意した女流棋士も続出した。

将棋ジャーナリストが言う。
「アメも用意していた。名人戦や衛星放送の解説役を、優先的に回すなどという条件をチラつかせたのです」

見出しにある「残留バブルと脅し」というのはこういうことだそうです。(リード文では「脅しに近い妨害工作」という表現になっています。)

記事が書くように「脅迫」なのかどうかはこれだけだと判然としませんが、一番よくわからない点、つまり日本将棋連盟理事会がどうして独立を嫌がったのかについてはこれを読んでもやはり謎のままでした。理事会に取材する報道機関がもっと多く現れると、もう少しわかってくるかなと思うのですが。

「残留届を出した女流棋士一覧」が配布されているらしい

日本将棋連盟理事会から棋士向けにそういうリストが配布されているそうです。