女流棋士独立問題 週刊将棋上でコメント ほか

週刊将棋での三氏のコメント

4月9日発売の週刊将棋4月11日号の22面で女流棋士独立問題に関するコメントが出ています。コメントしているのは、女流棋士独立準備委員会委員長の中井広恵女流六段、「暫定事務局」事務局長の谷川治恵女流四段、日本将棋連盟専務理事の西村一義九段の3名です。

中井女流六段のコメントは

まずはこの度、ファンの皆様にとてもご心配をおかけ致しましたので、この場を借りて、お詫び申し上げます。

理事会からもあたたかい応援のお言葉をいただきまして、大変心強く思います。

という出だしから、基本的に女流棋士新法人設立準備委員会ブログ 「新法人設立にむけて」に沿った内容となっています。

谷川女流四段のコメントは、

今は残念な事態ではありますが、盤上は神聖ですので、私情は入らないと信じています。今後も私たちは、礼を重んじ、先人を尊び、静かに力強く将棋道にまい進するつもりです。また、女流棋士自身の棋力向上とあわせ、これまで以上に普及面でも頑張ってまいります。

という出だしです。「盤上は神聖ですので、私情は入らない」というのは、残留した女流棋士と独立した女流棋士の対局でも、わだかまりを乗り越えて将棋に集中できるという意味だと思われます。

西村九段のコメントは、次のようになっています。

女流担当として最初から関わってきた者として、また私自身が女流の弟子を3人持つ者として、今の事態は残念です。残留される女流には連盟は責任を持って対応しますし、独立される方にも、その自主性を尊重しつつ協力関係を持ちたいと考えています。

今後は、独立される方、残留される方ともに一人一人が対局や仕事に集中できるような環境を整えたいと思います

いずれのコメントも特別に問題なくまとまっていて、編集部のまとめとして「立場は違っても、ファンのため、そして将棋界発展のために努力していく姿勢がそれぞれ打ち出された」という見方に、基本的にうなずける内容だと思います。

会長名義の文書

上記ページで、残留届を出していない女流棋士へ送付された文書の写真が公開されています。名義は日本将棋連盟会長米長邦雄となっており、右上に公印らしきものが見えます。内容は、残留を希望していない女流棋士に対して、日本将棋連盟からの退会を求めるものとなっています。

今週中に独立の詳細を発表することになっているのですから、それまで待つことができないのだろうかと思ったのですが、何だかよくわからない対応です。ところで、「残留の希望を意思表示していない方」と「4月2日の記者発表を当連盟に相談無くされた方々」が完全に一致しているという意味なのでしょうか。そうでないとこの文章は意味が通らないと思うのですが、そうではないような気がします。また、「残留を希望しない棋士については新法人が設立されるまでの間は連盟管轄下とし、対局は保証される」という方針と整合的でないようですけども。まあ、方針は常に変わるものなのかもしれません。

対局権利は「西村理事は分裂した場合、最大の懸案事項である対局権利については『残留派はもちろん、独立した女流にもスポンサーの意向を考えると対局を認めることになるだろう』と見通しを述べた。」という話がありましたがどうなったのでしょうね。まあこのコメントを出したのは米長邦雄永世棋聖ではないというのはあるのですが。

最後に「追伸」として次のようなことが書かれているのが気になります。

ご返事のない場合には、これまでの女流独立問題における言動の内容につき、女流棋士総則第14章に照らし合わせて、理事会は相応の処置をいたしますことを付記いたします。

女流棋士総則」の存在は私は今回初めて知りました。どんな内容なのか不明ですが、「言動」といっても話した内容は人それぞれ異なるでしょうから、一律に「処置」をしようとしているということは、行動の方で何か問題になるようなことがあると主張しているように読めます。本当にそれをやったら大変なことだと思うのですが、まあどうなるかわかりませんが。

女流棋士独立問題についてにある、独立か残留かを迫った文書に具体的にどのようなことが書いてあったのかも気になっているのですが、女流棋士新法人設立準備委員会ブログ アンケート結果と違って、自ら公開することはないのだろうなというところでしょうか。