NHK杯戦、久保利明八段がベスト4に進出

▲6二飛まで


本日放映されたNHK杯将棋トーナメント準々決勝▲久保利明八段 対△森下卓九段の対局は117手で先手の勝ちでした。

さばきの久保に対して実利の森下という対照的な棋風の組み合わせ。四間飛車に、後手は左美濃から米長玉で対抗しました。そして棋風の通り先手が銀損で飛車交換から先に龍を作る展開となります。角が働かない後手は先手の着実な攻めにしびれをきらして龍切りを敢行し金打ちから食いついていきますが、最後は後手の攻めを先手が余して勝ちきりました。

上図が勝ちを決めた局面。この▲6二飛が詰めろになっているのが読めるでしょうか。対局者の二人はどちらも読み切れてはいなかったようです(もっとも、実際に駒を動かせば詰ますことは難しくないでしょうけれども)。詰手順は下に書いておきますが、手数こそ20手台とやや長いものの特に妙手があるわけでもないので、駒を動かしながら詰まそうと思えばそれほど難しくないと思います。

しかし、コンピュータに解かせると意外に難しいそうです。コンピュータ将棋や囲碁の掲示板での山下氏の書き込みによると、多くの将棋ソフトで上図の局面を詰ますことができなかったそうです。

この局面をソフトにやらせてみると

  • 東大6 ▲投了
  • 激指3 ▲82龍(以下△32歩に▲投了)
  • 柿木6 ▲31角(柿木は詰を見つけるようですぐに指します)
  • YSS  ▲投了(かなり考えると▲31角を指します)

ソフトに考えさせるのも万能というわけにはいかないのですね。

後手の持駒:歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
                                                        • +
龍 ・ ・ ・ ・v銀 ・v桂v香
・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・v角v玉
・ ・ ・ ・ 杏 ・v金v銀 ・
・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩
・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・
・ ・ 歩v桂 ・v桂v金 歩 歩
歩 歩 ・ 馬 ・ ・ ・v銀 ・
・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・
香 桂 ・vと ・ 玉 ・ ・ 香
                                                        • +
先手の持駒:金二 歩五  ▲2二飛成 △同 玉 ▲3一角 △同 玉 ▲4一龍 △2二玉 ▲2三馬 △同 玉 ▲3二銀 △3四玉 ▲4三銀不成 △4五玉 ▲5四銀不成 △3四玉 ▲3五歩 △2三玉 ▲2一龍 △2二飛 ▲3二銀 △同 金 ▲3四金 △1三玉 ▲2五桂 △同 歩 ▲2四金打 △同 飛 ▲同 金 まで27手詰