浅川書房から羽生善治四冠の新刊

浅川書房から羽生善治四冠の新刊が12月20日頃に発売予定です。

本書はアマチュアの方の終盤力アップを目指して作った本です。編集部では羽生先生の勝局900局をすべて並べ、難しすぎてアマチュアの参考になりません、これは観賞用です、という将棋をまず除外しました(たとえば羽生・谷川戦といえば、わかっていただけると思います)。次に、基本的な手がふんだんに入っていて、全体として一本の線のように感じられる題材を残し、アマチュアからのさまざまな疑問をぶつけ、それを踏まえたうえで最終的に羽生先生に選択・執筆していただきました。こうして出来上がったのが本書です。

基本手筋を1回出せばポイントはかせげます。でも、それだけではまだ寄せきることはできません。しかし基本手筋を3回出せば、プロといえども防ぎきれません。そしてその基本手筋のひとつひとつは、アマ初段でも指せる手なのです! 絶妙手一発ではなく、プロセスとして終盤を考える。それが本書の狙いです。

現代の強い棋士の特徴に、優勢になってから当たり前のように勝ちきるということがあります。私のような棋力だと明らかに勝ちになっているはずの局面でも手が見えなくて泥仕合になってしまうことがよくあるのですが、妙手を指せなかったから勝てないというわけではないんですよね。必要なのは、指されてみれば自然な手の積み重ね。それができないのは指し手の考え方、方向性、大局観といったものがおかしいからだろうと思います。そのような意味で「プロセスとして終盤を考える」というコンセプトには期待が持てます。

なお、続刊として「引き続き『寄せの基本と応用』『これはマジックではない』(いずれも仮題)と刊行する予定」とのことです。後者の表題は興味をそそられますね。

浅川書房浅川浩氏は、今月発売の将棋世界2006年1月号で勝又清和五段と組んで新連載「勝又教授のこれならわかる!最新戦法講義」を始めました。今回のテーマは一手損角換わり。近年の実戦例を豊富に盛り込みながらどうして流行しているのかをわかりやすく説明してくれています。将棋世界で二段組は目新しいですね。勝又五段の定跡解説は定評のあるところですし、この連載はこれから楽しみです。