名人戦第1局1日目 「扇子の音」で異例の中断
4月10日の名人戦第1局▲郷田真隆九段 対△森内俊之名人の1日目途中で、異例の中断があったそうです。
森内が24手目を考慮中の午後3時20分ごろ、森内はそれまで盤をはさんで聞こえてくる郷田の扇子の音が気になっていたようで、自分の考慮中には音を立てないように要望した。約10分後に郷田が、音は無意識のうちに立っているもので、意識的に立てているわけではない旨を立会に説明したいとして、対局が中断した。
立会の中村修八段と副立会の木村一基八段らが協議し、郷田に相手の考慮中には扇子の音に配慮するよう要望して両者は納得、約30分の中断の後に午後4時、対局が再開された。
名人戦のようにテレビカメラのある状況以外を含めても、対局中にこうした形で対局者同士の会話が行われたりそれが元で対局が中断されたりというのは極めて異例のことです。
私は名人戦中継に加入していないので詳しい状況がよくわかりませんが、棋士が扇子で音を鳴らして指先を動かしながら思考のリズムを取ることはよくあります(参考:プロフェッショナルの道具(羽生善治))。森内名人と郷田九段はタイトル戦では初の顔合わせですが、普通の対局では何度も対戦しているので、そういう場面での音と比較しても大きかったのだろうと思います。ただ、実際のところどのくらいの音だと耳障りに感じられるのかは私には今ひとつぴんときません。
扇子の音がうるさいという話は4月1日に放送されたNHK杯戦の佐藤天彦四段に関しても出ていました。そのときは途中で止めるとか話しかけることはありませんでしたが、扇子の音をめぐる問題というつながりでいうと続くときは続くものだということなのでしょう。ところで、NHK杯戦の2回戦で森内名人対佐藤天彦四段の対戦が組まれているんですね。