中井広恵女流三冠、通算400勝

中井広恵女流三冠が6月27日に、女流棋士としては初の通算400勝目をあげました。(女流棋士成績一覧

ここ3年間の勝ち数を見ると、順に18,39,14となっています。羽生善治四冠は毎年50局前後は勝っているのに比べると対局数の面でだいぶ少ないので、男性棋士が1000勝に匹敵するほどの偉業と言えそうです。

これとは関係ありませんが、日経の将棋王国は記事を出すのが素早いですね。速報性に関してはダントツだと思います。

将棋世界8月号

将棋世界8月号が発売になりました。表紙は羽生善治四冠の写真。何というか……老けて見えますね。

今月の目玉は、谷川浩司王位の棋聖戦観戦記。将棋世界の読者数を回復する方策は、まずは大物に書いてもらうということのようです。安直ではありますが、実のあるお金の使い方です。

毎月楽しみにしている先崎学八段の「駒落ちの話」は、今月だけ「終盤の話」になっていました。ネタに困って苦しまぎれの改題ですが、自戦解説だけで終えなかったのはさすがだと思います。あるプロ棋士が話していましたが、自分の将棋について書くのが最も楽だそうで、他人の将棋について書くとなるとしっかり検討するのに別の労力が必要ですからね。

次の一手が特別に帰ってきたのは、思いがけない贈り物でした。プロはアマよりずっと強いけど、圧倒的に勝つことはできないというのは、うまい表現だと思いました。

将棋世界は以前より読むところが増えてきている感じがします。中長期的には別の努力が必要ですが、この調子でがんばってほしいですね。

弱者への配慮あるウェブページ作り

YahooメールやHotmailなど、無料で利用できるメールサービスはいろいろありますが、以前からこれが無差別に大量発信するスパムメールの温床になっているとして批判されてきました。そのようなスパムメールを送信する手口の一つに、大量にアカウントを獲得しログイン・送信などの手順を自動化したソフトに行わせるというものがありますが、これを防止する手段として導入されたのが、画像による認証テストでした。記事中にある画像をご覧いただくとわかりますが、ぼやかしたり、ゆがませたりした文字を入力させるというテストです。

これは操作しているのが人間であることを証明するためのテストですが、そのような文字を読みとれない人間にとっては無理難題を突きつけられていることになります。つまり、視覚障害者の利用を制限していることになるわけですね。記事は、意図されたものではないにせよ、結果的に視覚障害者が排除されるのが問題になっていることを伝えています。

翻って考えると、将棋サイトはどうでしょうか。将棋倶楽部24のような動的な要素の高いサイトが対応できていないのは仕方ない面もありますが、単に文章で書ける情報を提供しているだけのサイトでも、視覚障害者への配慮を考えているようには見えないところが多いのが現状です。

将棋というのは、棋譜を読み上げれば原理的に頭の中で駒を並べることのできるゲームで、視覚障害者の大会が開かれているという話も聞いたことがあります。その意味で将棋は視覚障害者にも比較的優しい競技であり、将棋サイトにとって視覚障害者へ配慮してページを作ることは、意義のあることだと言えます。

視覚障害者への配慮というと難しいことのように聞こえますが、ウェブページを記述するhtmlにはもともとそのような配慮が盛り込まれているので、基本に忠実にページを作っていれば、本来はそれほど困ったことにはならないはずです。例えば、音声で読み上げるタイプのブラウザを使っている人にとっては、画像で表現された文字は対応が難しいように思えます。しかし、htmlでは画像と一緒にその代替テキストを記述することが必須とされており、読み上げの際にはその代替テキストが読まれることになります。しかしそのような規約を無視して代替テキストを記述していないと、困ったことになるわけですね。

例えば、神崎健二七段のホームページのメニューでは、観戦記情報が並んでいますが、そこで使われている画像には代替テキストが全く記述されていません。「竜王戦」という文字の画像があっても、代替テキストが指定されていなければまずいわけですね。htmlの書式では、次のように書けばいいのです。

<img src="images/title/ryuou.gif" alt="竜王戦">

どうせ視覚障害者なんて自分のページを見ていないんだから、そんな手間をかける必要はないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、上で書いたような配慮は視覚障害者のためだけではないのです。例えば、回線の細い人は画像が読み込まれるまで時間がかかります。文字が画像化されている場合、画像が読み込まれるまで何が書いてあるのか全くわからないのはストレスになりますが、代替テキストが適切に指定されていれば、読み込まれる前にどこに何があるのかわかり、快適にページを閲覧することができるようになります。そのほかにも、ネットに不慣れな人も弱者と言えますね。弱者への配慮は全ての人を快適にします。

こうしたことはウェブページを作り始める人にはなかなか情報が伝わらないのですが、プロとしてサイト製作を行っているような人であれば当然知っていることです。上で書いたのはそのごく一部にすぎず、様々なノウハウが研究されていますので、「ユーザビリティ」とか「アクセシビリティ」とかいったキーワードを手がかりに調べてみると面白いのではないかと思います。