A級順位戦展望

昨日行われたA級順位戦藤井猛九段 対△久保利明八段の対局は、105手で藤井九段の勝ちでした。これで残り2戦。現時点でA級順位戦棋士の成績は以下のようになっています。(かっこ内は前年度の順位)

  1. 7勝0敗(01) 森内俊之竜王(名人挑戦確定)
  2. 4勝3敗(02) 佐藤康光棋聖
  3. 4勝3敗(04) 谷川浩司王位
  4. 4勝3敗(05) 丸山忠久棋王
  5. 4勝3敗(10) 鈴木大介八段
  6. 3勝4敗(03) 藤井猛九段
  7. 3勝4敗(07) 三浦弘行八段
  8. 3勝4敗(09) 久保利明八段
  9. 2勝5敗(08) 島朗八段
  10. 1勝6敗(06) 青野照市九段

すでに森内竜王の名人挑戦が確定しているため、興味は残留争いに絞られました。タイトル保持者の3名は降級の心配はありません。鈴木八段以下の6名の争いとなります。順に見ていきます。

鈴木八段は4勝ですが順位が悪いため降級の可能性があります。島八段があと1敗すれば安全ですが、次の青野九段戦に勝って勝ち越しを決めておきたいところでしょう。

藤井九段は昨日の1勝が大きく、順位の良さが生きそうな展開です。とはいえ、残り2戦が森内竜王・丸山棋王というのは厳しいところ。くしくも島八段の対戦相手と同じ組み合わせです。ここで連敗すると残留が怪しくなってきます。

三浦八段はあと1勝で残留確定。久保八段・青野九段という残留争いの直接対決を残しているだけに、他の棋士にとっても目が離せません。ここ2年の戦いぶりを思い起こすと、しぶとく残りそうな気はするのですがさてどうなるでしょうか。

久保八段は出だし3連勝の後4連敗という悪夢の展開。順位も悪いだけに次の三浦八段戦にも敗れると一気に寒くなります。4勝目を挙げても残留は確定しないというのは、順位戦の厳しさですね。

島八段は青野九段との直接対決を制して一息つきました。それでも、残留するためには連勝したいところです。残りが丸山棋王・森内竜王というのは大変ですが、もはやそんなことは言っていられません。勝負所で強いと言われる粘りを発揮できるかどうかです。

青野九段は非常に厳しい情勢です。とはいえ、次に青野九段が勝ち、三浦八段と島八段が負けると、最終戦で自力で残留を決められる立場になります。まだまだわかりません。

逆に次の対局で久保八段が勝ち、島八段と青野九段が負けると、最終戦を待たずに降級者2名が決定してしまいます。そうなると、NHKBS2での中継はどうなってしまうのでしょうか。史上最も短い「一番長い日」にならないといいのですが。

雑誌を読んでいるのはどんな人?

ネタ元は失念してしまったのですが、社団法人日本雑誌協会J-MAGAZINE 読者媒体データ。将棋関係の雑誌について知りたかったのですが、掲載されていないので「囲碁」を見てみます。

一見してわかる特徴が「年齢層が高い」「男性比率が高い」「学歴が高い」の三高です。

イメージとしては、年齢層の高さが「小説新潮」とか「きょうの健康」と似たような感じ。30歳未満が1.6%、50歳以上が79.1%と、ここまで高齢層に偏ったグラフはなかなかありません。男性比率も97.4%と非常に高率で、いかに女性に読まれていないかがわかります。

将棋の場合もおそらくは大きく変わらないでしょう。年齢層はもう少し若くて、男性の比率は同じくらいという感じでしょうか。ただ、「NHK将棋講座」のテキストはもっと広い世代で読まれているかもしれません。

JavaScript強要に対抗

Seki's Diary1月22日分より。次のように記述してJavaScriptをオンしないと閲覧できないようにするための強引すぎる工夫。

<noscript>
<meta http-equiv=refresh content=0;url=index.htm>
</noscript>

よそでも見たことがあります。HTML的にはmetaheadの中にしか書けないし、noscriptbodyの中にしか書けないので、文法の誤りです。したがって、こういう記述は無視されても不思議ではないんですけど、動いてしまうみたいですね。

IEの場合には、「インターネット オプション」→「詳細設定」→「ページの切り替えを行う」のチェックをはずすことにより、meta http-equiv=refreshを無効にすることができます。JavaScriptをオフにするときに合わせて設定しておくといいかもしれません。ただ、企業のサイトでもmeta http-equiv=refreshがいつでも有効だと思いこんでいるところが多いので、真っ白なページに出くわしてもうろたえずにソースを見られるようにならなければなりません。

将棋を指すと頭が悪くなる……はずはない

ゲーム脳」という言葉を耳にしたことのある方は多いと思います。これは日本大学文理学部教授の森昭雄氏による、2002年7月に出版された著書『ゲーム脳の恐怖』で生み出された言葉です。私はこの本を読んでいませんが、おおよその内容は下記の記事にあるもののようです。いい加減に要約すると、「ゲームをやってると頭が悪くなるよ」ということみたいですね。

この言葉は語感がわかりやすかったせいか一時期ブームのようになりましたが、出版直後から批判が投げかけられています。例えば、google:ゲーム脳を見ると説得力ある批判が多数見つかります。その中で現在一番手に表示されるのが斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖です。これは、『「斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖」のGoogleランクを上げよう』運動の成果なんでしょうね。他にもhttp://allabout.co.jp/game/gamenews/closeup/CU20030430A/index.htmでいろいろな記事を読むことができます。*1

私はこのこと自体はだいぶ前から知っていました。それでは、どうして一年半前のことをわざわざ書くのかというと、関連記事を読んでいて森氏が将棋を指していても「ゲーム脳」になるという趣旨の発言をしていることを知ったためです。*2

ゲーム脳の恐怖』P143には「将棋ゲーム」についてのみの記述だったが、『ゲーム批評』11月号のインタビューによると、テレビゲーム化されていない将棋でも、「考えることが必要なくなる」と、森氏は考えているらしい。

隔月刊誌『ゲーム批評』の2002年11月号を私は読んでいません*3。バックナンバーは注文すれば入手できるようですが、それだけのために購入するのもためらわれます。とはいえ、「将棋でゲーム脳」という主張自体は読むまでもなく否定できる類のものではないでしょうか。実際、上で引用したページのインタビューでも一笑に付されています。

もし「ゲーム脳」という概念を信じる人が増えると、将棋が有害であると誤解される恐れがあります。検索する限りではこの話を鵜呑みにしまっている記述はほとんどないので大丈夫とは思いますが、周りに信じてしまっている人がいたら教えてあげて下さい。お願いします。

そんなわけで真面目に反論するのもばかばかしい話なんですが、たしか将棋棋士の脳波を測定する研究というのがあったと思います。そのデータがあれば明確になるはずです。……と思って少し調べてみたんですが、どうもはっきりしたものがありません。ひょっとしたらこの辺の話も俗説にすぎないという可能性も捨て切れませんがとりあえずメモしておきます。

ボードウォーク・コミュニティー「ゲーム脳」とは何か?みたいに笑いに消化するのが本当は健全なんでしょうね。*4

*1:似通ったテーマでもっとまともな研究は高度情報流通関連基盤技術開発・実証事業の下段にある「テレビゲームが脳の活動や発達に及ぼす影響」なんだろうと思います。

*2:これもその筋では有名な話なんでしょうけど。

*3:http://www.chanbara.jp/books/gamebrain.html で引用されているのが、その一部ではないかと思います。

*4:6月24日追記:移転に伴い読めなくなっているようです。 2005年6月2日追記:復活していたのでリンクし直しました。