順位戦抽選の模様

今年度の順位戦組み合わせ抽選が一昨日行われました。多くの棋士にとっての生命線とも言えるこの棋戦。とりわけ総当たりでないB級2組以下のリーグでは、調子の良い棋士との対戦が多いかどうかが昇降級争いの行方に微妙な影響を与えることも珍しくありません。

順位戦についてに見られるように、B級2組以下では組み合わせにいくつもの制約が課されているため、無作為性を保証しながらどのように抽選作業を行っているのか興味を持っていました。

上の記事によると、B級2組からC級2組までの順位戦は専用に開発されたパソコンソフトですぐに対戦が決まるようになっているそうです。「1から100000までの適当な数字をあげ」というのは、あらかじめ十万通りの組み合わせがあってそこから選んでいるということかと一瞬思ったのですが、実際はおそらくそうではなく、選んだ数によって乱数の並びが変わるということなのでしょう。

定員が少なく総当たりとなるA級とB級1組の抽選ではコンピュータは用いられず、昔ながらにトランプをシャッフルして並びを決めているそうです。コンピュータの乱数とトランプでは前者の方が無作為性は高いはずですが、過程が目に見える透明性も捨てがたいので難しいところです。(関係ありませんが、「B級1組の定員が13名なのはトランプの枚数に合わせたため」という嘘トリビアを思いつきました。)

そして、奨励会三段リーグは条件が複雑すぎるためにソフトの開発ができていないそうです。そんなに制約が多いとは知りませんでした。

組み合わせ抽選というのはどの世界でも「政治的な思惑から誰かの都合の良い結果になるように行われているのではないか」という疑惑の目がつきまとうものです。以前将棋順位戦データベース掲示板でそのような疑問を持った方が書き込みしていたのを見たことがあります。今のやり方にも改良の余地はあると思いますが、噂をなくすためにもこのように抽選過程が公開されるのは良いことです。