取る一手将棋を考える (3)

取る一手将棋を考える (2) からの続き

先手の左端定跡に対抗する後手の2つ目の手段は、振り飛車です。(北村さんからアイディアをいただきました。)

これは、先手が▲9五歩と突いた瞬間に、後手から△9四歩と突いて左端定跡風の手順に持ち込もうという考え方です。

▲9六歩    △3二飛    ▲4八銀    △4二銀    ▲9五歩    △9四歩
▲同 歩    △同 香    ▲同 香    △9一歩    ▲同香成

というようにして後手から左端定跡に類似した手順に持ち込もうというわけです。飛を振るのは、このときに飛で成香を取ることのないようにという意味でした。

典型的な成功例を一つ示すと、以下のような感じです。(変化が多いので手抜きをして、kifファイルへのリンクです。)

上の手順では3手目▲4八銀としたため、先手玉が狭くなって詰まされてしまいましたが、かわりに▲5八飛として5七の地点を守っても、手順は複雑になりますがやはり先手玉は詰まされてしまいます。

そこで先手はさらに自陣を整備してから▲9五歩として左端定跡を狙うことになりますが、その間に後手も守りを整えることができます。この戦形は上で示した手順のように詰みまで一気に持っていけるかどうか、一手一手読みを入れる必要があります。微妙な違いで詰んだり詰まなかったりしますので、実戦では時間をかけて指すことになるかもしれません。

上では三間飛車を例に挙げましたが、四間飛車中飛車も有力です。それぞれ特徴がありますが、まだまだわからないことの多い戦形です。

取る一手将棋を考える (4) へ続く。