ここ1年間の振り駒は上位者先手が50.4%

昨年7月12日から1年間行われた振り駒集計データがまとまった。全局数1541のうち、上位者先手が776(50・4%)、下位者先手が765(49・6%)。ほぼ五分五分の確率だった。リーグ戦は除く。

なお「リーグ戦は除く」というのは、順位戦やタイトル戦(の初戦および最終戦を除く局)など事前に手番が決まっていて振り駒が行われない対局は除くという意味です。

振り駒の統計をとるという提案は昨年5月の棋士総会で真部一男八段によってなされ、2005年7月12日から2006年7月11日までの集計が上のようになったということです。今月の将棋世界9月号にある真部八段の「将棋論考」に詳しく書かれています。「上位者」については次のようになっているそうです。

ここでいう上位者とは明確な規定はないが、(1)タイトル保持者(竜王位、名人位は更に上に位置する)(2)大先輩、中先輩 (3)段位、などである。(1)だけは優先されているが、(2)、(3)の優先順位は微妙で、その都度両者の暗黙の了解で決定されることが多い。

小先輩程度だと、段位が優先されているようだ。

以上の条件に差別のない場合は、年齢の上の者を仮の上位者としている。

50.4%というのは厳密には50%ではありませんが、この対局数でこの近さであれば誤差の範囲と言えます。ただし、もう何年かデータを積み重ねるとずれが見えてくる可能性はあります。どちらの手番になったかだけでなく、歩が5枚だったのは何回あったかなどの細目も知りたいところです。

振り駒が公平ではないのではないかという疑念は以前から何人もの人によって唱えられてきました。もともと将棋駒はコインなどに比べて対称的な形をしていませんし、駒師の方も振ったときに公平になるようにというよりも、見た目や指すときの感触がより良くなるようにと考えて作っていると思います。ですから、本当に公平に近づけるべきだと考えるならば、駒ではなく何か専用の別のものを使って抽選を行う方が合理的です。現在そこまでしていないのは、多少公平でなくても現実的には問題ではないという判断からなのでしょう。今回のデータによってその判断はそれほど誤りではないという結論となりました。

振り駒の統計は今後も継続的にとっていくのだと思います。記録係にとっても負担になるようなことではありませんし、データは多い方がいいのでこういう試みはこれからも続けていってほしいと思います。