瀬川晶司氏にプロ編入試験を実施

これまでの経緯は瀬川晶司氏プロ入り希望問題リンク集でどうぞ。

これについて、26日、東京で開かれた日本将棋連盟棋士総会で、棋士が投票をした結果、「名人」を目指す順位戦には参加できないフリークラスの棋士として、プロ入りを認めるため、試験を実施するという案が賛成129、反対52、白票8と、賛成多数で認められました。将棋の世界で、アマチュアがプロになるための試験を受けるのは戦後、これが初めてで、どのような試験をするかは、今後、理事会が検討することにしています。

というわけで、一時期報道のあった「プロ試験」に落ち着きました。事前には様々な動きがあったのでしょうけれども、結果的に3分の2を超える賛成を得たということで、ひとまずは円満の結末と言えるのではないでしょうか。

当面の注目点は、プロ編入試験の方式がどうなるかですね。これについては理事会に一任されることになったため、明日行われる理事会で話し合いが行われるそうです。

記者会見した米長邦雄・同連盟会長は「今回の決定は特例中の特例だが、年齢に関係なくプロになれる道を開いた意義は大きい。試験の実施時期や方法については、あすの理事会で方針を決めたい」と説明。

試験は将棋の対局形式になのだと思われます。だとすると、スポンサーがどこになるのか、どこの会社が観戦記をつけるのか(あるいはテレビで放送するのか)という部分も注目されます。米長永世棋聖あたりがすでにある程度の話を詰めているのではないかと私は推測しているのですが、果たしてどうでしょうか。

今回、プロ編入試験は「特例」として行われることになりましたが、それとは別に将棋界の制度をどのように改善していくかは今後の課題となりました。プロがアマチュアに公式戦で3割しか勝てないという事態はそうそう生じることはないでしょうけれども、再びこうなったときどうするのか、あらかじめ決めておく必要もあるでしょう。奨励会とは別のプロ入りへの道を制度化するかどうか、今後1年ほどかけて話し合うそうです。

連盟の米長邦雄新会長は「瀬川さんは特例として扱い、試験の方式はできるだけ早く決めたい」と話した。奨励会とは別にプロ入りへの道を開く新制度作りについては「1年程度かけて検討する」という。

なお、朝日新聞の記事によれば、投票は試験と却下の二者択一形式だったそうです。三段リーグ編入という案も言われていましたが、瀬川氏は三段リーグ編入は拒否する意向を表明していたので意味がないということだったのかもしれません。しかし、三段リーグ編入案を投票に書けていれば過半数を取ったかもしれませんね。それをあえてはずした議事進行が理事会の作戦だったということも考えられます。

28日追記:

日本将棋連盟2005年通常総会のページにある瀬川氏の写真が、ずいぶんきりっとしていますね。「日本将棋連盟デジタルショップSHOGIメールマガジン 第327号」によると、この写真は26日当日に撮影されたものだそうです。

ところで、総会の日は、将棋会館内に簡易撮影室を作って、来ている棋士の顔写真を撮ります。夕方、事務室に何人かの棋士と一緒に瀬川さんもいらしたので、あわせて写真を撮らせてもらいました。

奨励会時代からの長いつきあいという事もあるのでしょうが、瀬川さんが周りの棋士と談笑しながら写真撮影を待っている風景は、きわめて自然でした。雰囲気としては、「話題のアマ強豪」がいる、というよりも、そこにいるプロ棋士の一人、という感じでした。