女流棋士独立問題 36名が残留届

女流棋士の独立をめぐり、日本将棋連盟の理事会が全女流棋士55人に態度表明を迫っていた問題で、理事会は30日、「36人が残留届を提出した」と発表した。17人は「分裂は望まない」などと回答。2人は返事がなかったという。

理事会は「混乱が生じており、何らかの対応をすべき時期にきた」として、女流棋士に対し、残留届か移籍届を出すよう求めた文書(今月7日付)を送った。独立を目指す「新法人設立準備委員会」は文書の撤回を要求。理事会は応じなかったが、回答期限を当初の22日から29日に延長した。

なお、共同通信の記事によると、誰が残留希望であるか氏名の公表は行わないとのことです。

今後の展開がどうなるのか不透明な部分が多いのですが、2006年12月1日の女流棋士会臨時総会で可決された独立への準備を行う内容の決議はまだ生きているはずですので、これをどうするのかが気になるところです。独立派は次のようなコメントを出しています。

17人は分裂は望まないが独立を希望しているという。無回答は2人。女流棋士会の新法人設立準備委員会(委員長=中井広恵女流6段)は「残留届を出された方からも『連盟の応援があれば独立したい』という意見が多く出ており、女流棋界の将来のため、今後の方針を前向きに検討する」とコメント。独立の意思が堅いことをあらためて表明した。

当初の報道では今年春の発足を目指すとしていましたが、このような推移を受けてとりあえずは断念ということになるようです。(追記:と書いたのですが、よく読むと分裂しても独立の含みもあるのかもしれません)とはいえ、独立しようと思わない女流棋士過半数いるなら準備委員会も手じまいということになるでしょう。そうではなく、残留を希望したものの独立の可能性は残しておきたい女流棋士が相当数いるなら、独立はできないけれども準備委員会は存続という宙ぶらりんな状態が続くのかもしれません。

このような結果になった背景として産経新聞の記事では次のように書かれています。

この問題は昨年12月に持ち上がり、当初は独立賛成が圧倒的多数だった。今回、残留希望が過半数と逆転した背景には、独立後の姿がいまだはっきりと打ち出せていないことや、残留を希望する棋士には“残留バブル”とまでいわれる仕事の依頼があることなどを指摘する関係者もいる。

一方、残留を希望しない棋士については新法人が設立されるまでの間は連盟管轄下とし、対局は保証される、としている。独立派の女流棋士新法人設立準備委員会は「女流棋界の将来のためにも今後の方針を前向きに検討したい」とのコメントを発表した。

残留希望の女流棋士が多数を占めたことで、女流将棋界の改善の多くの部分は日本将棋連盟に委ねられることになりました。今後の方針について日本将棋連盟理事会がどのような意見を持っているのか、それに対して女流棋士がどのように対応していくのかに注目しています。